ある条件を満たしている場合、国民年金の保険料を支払わずに未納にした方が得なケースがあります。
国民年金は、加入期間が20歳から60歳の40年間と定められています。一方、厚生年金には基本的には加入期間の制限がありません。しかし、サラリーマンの場合、20歳以前または60歳以降に就業していても、その部分は国民年金(老齢基礎年金)には反映されません。
そこで、未納期間がある場合に限っては、経過的加算として老齢厚生年金(老齢厚生年金)の中で補填されるようになっています。
未納にした方が得なケース
国民年金の保険料を支払わずに、ある期間未納にしても、将来的に給付される年金額が完納した場合と変わらないケースを紹介します。
- 19歳から就業を開始
- 25歳で社内結婚した後退職し、夫が定年退職するまでは専業主婦を継続
- 夫が退職した時点ではまだ60歳未満であり、妻は国民年金保険の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の手続きを行い、それ以降の保険料は貯金や夫の年金などから捻出している
以上のようなケースだと該当します。
上にあったケースの詳細説明
このケースの場合、彼女は19歳から25歳までは国民年金保険の第2号被保険者で、結婚後は夫の扶養家族として第3号被保険者となりますが、夫が定年退職した時点ではまだ60歳未満なので、国民年金の保険料の支払い期間が残っています。
そのため、第3号被保険者だった種別を第1号被保険者に変更して60歳まで保険料を支払うことになります。
仮に夫が退職した時点の妻の年齢を58歳とすると、後2年間、国民年金保険料を支払うことになります。しかし、彼女は19歳から就業しているので、未納期間が1年間あったとしても、経過的加算によって1年間の未納期間に相当する老齢基礎年金額が老齢厚生年金の中で補填されることになります。
したがってこのケースの場合だと、彼女は59歳まで保険料を支払い、後の1年間は作為的に未納にしたとしても、将来受給する老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額は、60歳まで保険料を支払った場合と変わらないということです。
経過的加算の活用
このケースの場合、1年間未納とすることで約20万円の保険料を節約することができます。
基本的に国は税金などは黙っていても持って行きますが、逆に給付金など国から支払われるような部分については、こちらから積極的に申告しないと支払われなかったり、不利益をこうむるような場合があります。そのことを知らないあなたが悪いというスタンスです。
例えば、国は年間の年金収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下の場合は確定申告をしなくてもよいとしていますが、これに該当する者の中には、確定申告をすれば還付金が戻ってくるケースがかなりあります。
「あなたの年金はこれだけです」と国から言われてもそれを鵜呑みのするのではなく、その額が本当に妥当なのか、法律的に正しい額なのか、自分が納得出来るまで検証する姿勢が大切です。